小平駅北口からケヤキ並木の続く参道を約300メートル。小平霊園正門から真っ直ぐに伸びるメインストリートの行く手の見事な枝ぶりの赤松は環境のバロメーターとも言われ、園内の自然の豊かさを象徴しているようで、総面積の半分を緑地が占めています。

芝生の緑の鮮やかさも目に染みます。晩夏の園内には蝉の大合唱が降りしきり、ツクツクボウシが墓地に眠る霊にレクイェムを奉げているように聞こえました。

ここには『七つの子』『青い目の人形』などの童謡を作詞した野口雨情、『二十四の瞳』の作家・壺井栄と夫の詩人・繁治、『花岡青洲の妻』『恍惚の人』など幅広いジャンルの話題作を残した有吉佐和子ほか、数多くの文化人も眠っています。


小平霊園の緑と花暦
小平霊園といえば東側の周路に沿ったソメイヨシノ並木が見事ですが、園内にも山桜のトンネルが約200メートル。花期の長いサトザクラ並木も。10区の中央には幹周囲2.8メートル、枝張り21メートルにもなるヤマザクラの大木があります。

霊園のシンボル赤松は約100本。それに負けない特徴的存在がリギダマツ並木だそうで、管理事務所のお奨めスポットです。五葉マツは別として通常の松葉は2本がピンセット状になっていますが、リギダマツは3本セットでミツバマツといわれる北米原産の常緑針葉高木。

梅雨明けから秋半ばくらいまで、文字通り100日ぐらい咲き続けて濃紅紫の花が緑を引き立たせる百日紅も、約500メートルの並木になっています。

12月の半ば頃から紅梅がほころび始め、白梅が満開を迎える早春にはサンシュユ、ボケ、ヤマボウシ、ハナミズキ…と花暦は展開して四季を彩ります。
画像をクリックすると大きなマップに

今を盛りと咲きほこるソメイヨシノ
05年4月(H・T撮影)

頬を染めて恥らうように咲いていた木瓜の花
05年4月(H・T撮影)

三葉のリギダマツが並木になっている
リギダマツ通り

花の少ない盛夏に燃えて咲く百日紅
並木

別名参内傘といわれるツルボが
群生していた晩夏の芝生

リギダマツの3本葉
墓石を覆っていたセンニンソウ(仙人草)
雑木林ソーンで咲いていたフジカンゾウ
(藤甘草)
雑木林ゾーンのサプライズ

雑木林ゾーンの中央部はえぐれており、
よく見ると川筋を留めています。


川が出現した時に備えて石橋が

園内にできた“川”は北門前で暗渠となり
新青梅街道の下をくぐって黒目川に注ぐ。
霊園の最北端・新青梅街道に近い一角にある雑木林ゾーンは“さいかち窪”と呼ばれて、かなり深い窪地になっています。この窪地は東久留米市を横断して流れている黒目川の源流の谷頭で、豪雨が続くと周辺から流れ込んできた雨水と地下水の上昇で樹林の中に川が出現することがあります。 1993年の秋口から降り続いた長雨の時には川幅10メートル前後にもなり、ゴウゴウと音立てて流れるほどでした。そう、新小平駅構内にも出水して付近の地盤が隆起し、武蔵野線が半年も不通になった年のことでした。

墓所逍遥
墓所の区画の多くは四方を100メートルごとにケヤキやマツ、サクラなどの並木が続く園路で整然と区切られ、中央部36区画は一般墓地で、東側5区画はモダンな芝生墓地、北側の新青梅街道に沿った樹林地には土地の有効利用を兼ねた壁墓地が新設されています。

一般墓所には○○家と彫られた墓石が大半ですが、中には「愛」「眠」「悠」など故人や家族の思いを託した一文字を刻んだ墓石があり、また、正門近くの林の中には新しい埋葬形式の合葬墓地がありました。

普段は静かで、散策やジョギング姿も見られる公園のような雰囲気ですが、春と秋のお彼岸やお盆の時期には一日数万人が墓参に訪れ、小平駅周辺は巣鴨の縁日並みの人出で混み合います。


  
面積・施設
総 面 積 653,545.4u 墓所数
行政区域別面積 一般墓地 32,950ヵ所
 東村山市 359,322.8u 芝生墓地 7,268ヵ所
 小平市 201,789.7u 壁型墓地 1,190ヵ所
 東久留米市 92,432.7u 合葬式墓地 1ヵ所
芝生の中のレストスポット 緑のブラインド・ケヤキ並木
著名人の眠る墓地へ


2006年9月作成
Copyright (c) 2005- 小平シニアネットクラブ KSNC All rights reserved