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西武多摩湖線一橋学園駅から徒歩10分ほど、閑静な住宅街の一角でも、 白塀と生垣に囲まれたひときわ静寂なたたずまいの『小平市平櫛田中彫刻美術館』。
昭和44年(1969) に98歳でこの地に移り住まれて他界するまで10年起居し、飽くなき探求を続けられた私邸を昭和59年10月に公開。その後、平成6年(1994)に作品を展示する美術館が新築され、昨年4月に『小平市平櫛田中彫刻美術館』と名称を改めたのを機に、より市民に愛され誇りにできる計画を進めているそうです。
生垣の南側を流れる玉川上水に映えた鳶色瓦の大屋根方形造りの旧邸宅と田中翁自らも丹精した庭園。玄関先に据えられた巨大な彫刻用クスノキの原木は目にするたびに畏敬の念を。
敷地面積:約1,800平方メートル 記念館(旧邸宅):約370平方メートル 展示館:約780平方メートル。
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国立能楽堂の設計者・大江宏建築家
の設計による田中翁の旧邸外観。楠や
松の大木、紅白梅の老木を配した庭園
では春と秋にお茶会も催されて。
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田中翁100歳の時に購入した彫刻
用クスノキ原木。向こう30年は創作
を続ける意気込みに圧倒される。樹
齢推定500年、直径1.9メートル。
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展示館ロビーで迎えてくれる『天心先
生記念像試作』。明治期以後の日
本美術の創生に尽くし、田中翁にも
深い影響を与えた岡倉天心の座像。
ブロンズ:高さ86cm 昭和6年頃作。
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彫刻展示館探訪 |
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間口はこじんまりしていますが、展示館に足を踏み入れた第一印象は意外に奥行きがあり、安らぐ空間で田中翁の作品に向き合えました。凹型の館内には展示室が1階と2階に各2室。地下の展示室はワンフロアーに(見取り図省略)。
一階展示室では国立劇場のロビーに展示されている4分の1サイズながら、細部まで克明な『鏡獅子』像、芭蕉や聖徳太子像など歴史上の人物像を中心に20点あまりが常設展示されています。
田中翁の彫刻は『法堂二笑:はっとうにしょう』『尋牛:じんぎゅう』『活人箭:かつじんせん』など、あまり知られてない人物像や難解な題名が多く、イマイチ馴染みにくいのですが、1階ビデオコーナーで上映されている『平櫛田中の芸術』と『鏡獅子への道』各15分が作品解説にはない観賞ガイドになってくれました。
2階展示室では『平櫛田中の書簡U』企画展が開催中で、彫刻作品とはまた違った田中翁の人間性や日常に触れることができます。同展は09年5月10日まで。
地下では初期に制作した女性裸像など田中翁の意外な作品にも対面できます。じっくり作品と交信できました。 |
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・・・・・・ 彫刻作品のさまざまな笑い ・・・・・・2007年企画展より |
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@気楽坊:後水尾天皇が徳川秀忠の娘と政略結婚させられたのが不満で「世の中は気楽に
暮らせ何事も…」と和歌に詠んで、気楽坊と名づけた指人形で気を紛らわせていたとか。そ
の指人形をモチーフに田中翁も遊び心で多数多様に制作しており、初めて一同に。
A禾山笑・首:田中翁の精神形成に大きな影響を与えた臨済宗の高僧・西山禾山の首像。
難解な仏教の教えを平易に説き豪放磊落な老師だったという。
B郭子儀(かくしぎ):子供や孫に恵まれていたため子孫繁栄や長寿の象徴にもなっている中
国唐代の武将郭子儀が孫子を見る細めた目が印象的。
C法堂二笑:禅宗の教えをテーマに臨済宗の開祖臨済と麻谷の二人を表現。解脱の笑いと
解説されている。
D2階展示室E新聞や雑誌から創作のヒントになる写真や記事を切り抜くことを日課にしてい
た田中翁の膨大なファイルにも、人物探究と好奇心が!
Eそのファイルの中に札幌五輪の妖精ジャネッ ト・リンの笑顔も。愛くるしい笑顔に田中翁も
魅了されたよう。
その他の展示作品 |
小平市平櫛田中彫刻美術館協力 |
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Wachi&Gome 2009年2月更新 |
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